人工知能が特許を出願した日!

人工知能が特許を出願した日!(第4回)

投稿日:2017年7月24日 更新日:

2030年、人類の選択(その1)

■コンピュータ

いまから13年後の2030年のお話し。

今年小学校に入学した子供たちが20歳になり、成人式をしている、そんな年のお話しだ。

どんどん開発が進んでいるコンピュータは、2030年にはどうなっているだろうか。

これから13年も先のことだから、コンピュータという言葉も機械もまだ存在しているが、とても小さくコンパクトになっている。これまでにもデスクトップパソコンからノートパソコンに、そしてタブレットからさらに小型のスマートフォンに代わってきた。若者たちの中にはすでにパソコンすら使わない人たちが出てきている。高性能化が進むと同時に、小型化もどんどん進んでいる。10数年前のアメリカのペンタゴンのコンピュータより、今のスマートフォンの方が高性能で、それが手のひらに載っている。

これからさらに10数年後には、顔認識や言葉の理解ができ、通常の会話はもちろんのこと、かなり高等な会話も自然な形でできるようになっているだろう。しかも自動翻訳機能も備わっているため、外国人との会話もほぼ支障なくできる。そういう時代になっている。

それに小型化が進んだコンピュータを搭載したロボットが当たり前で、何の不自然さも感じないようになっているだろう。

急速に便利になり、時代の変化について行けなくて、多くの人たちが知らない間に時代に置いてけぼりにされるかもしれない。それぐらい急速な変化が、短期間のうちに起きると予想されている。

2016年は、『第四次産業革命』が起きた最初の年だったと未来の歴史学者が判断するだろう。

これまでの産業革命を簡単に振り返ってみよう。

第0次産業革命は、1万年前に始まった農業革命。人類の個体数を他の動物と比べ圧倒的に増やし始める。

第一次産業革命は、18世紀後半から始まるイギリスで起きた蒸気機関を中心とした機械化によってもたらされた。みなさんも学校の歴史の授業で習った「産業革命」だ。

第二の産業革命は、20世紀の初期にトーマス・エジソンを筆頭とする多くの人たちによる革新的な電気の発明と、それを用いた電気製品だ。これらの製品群は、以前とはまったく異なる環境と生活習慣を作り上げた。

第三の産業革命は、20世紀後半のコンピュータを始めとするIT革命とも言われる情報産業革命だ。

そして現在だが、人工知能の研究は1980年代から活発に行われたが、当初は期待したような成果が得られなかった。ところが、2000年代になってネットワーク上のビッグデータを活用するために、コンピュータの性能の向上と機械学習と結びつけたディープラーニング(深層学習)とか、ニューラル(脳細胞)・ディープラーニングと呼ばれるコンピュータ自身が学習する方法が編み出されてきた。

コンピュータの計算能力が何万倍、何百万倍も高性能化が進んだことを含め、コンピュータ自身が賢くなった、一言でいうとそういうことになる。

ところが、コンピュータ自体の性能もあと数年で頭打ちになると、インテルの創業者のひとりゴードン・ムーア氏は予想している。

それは『ムーアの法則』と呼ばれるが、ムーア氏自身が1965年に言い始め、世界では定着している経験則のことで、このままだと2020年ごろにパソコンの性能は限界に来て、頭打ちになると予想している。

『ムーアの法則』とは、パソコンの計算能力が1年半ごとに2倍になるというもので、手回し計算機の時代も含めて50年間この関係が見られている。
その法則が成り立たなくなるのが、早ければ2020年だ。

詳細は省くとして、コンピュータの心臓部のCPU(中央演算処理装置)の製造方法が現在の延長線だと、2020年ごろにこのCPUの計算能力に限界が来るそうだ。

それでは、2020年から先のコンピュータはどうなるのだろうか。

分子コンピュータとか、原子コンピュータになるといわれている。原子物理学の世界に入って行くことになる。原子や分子サイズのナノテクノロジーという技術が利用されるそうだ。

それともう一つは、このナノテクノロジーとバイオテクノロジーとの融合があるそうだ。脳細胞はニューロンと呼ばれるが、このニューロンとマイクロコンピュータを結合させた、まったく新しいニューロ・コンピュータなどが考えられている。

もしもそれができたなら、人間の脳にニューロ・コンピュータを埋め込み、超人類としての脳ができるかもしれない。それに脳の記憶がコピーされ、その記憶は永遠に生き続けることができるようになり、永遠の命になれるかもしれない。

そういったことが起き始めるのが2030年なのだ。

そんなことになれば……、もはや人間(現生人類)と言えるのだろうか。

さらに遺伝子もコントロールされ、設計・デザインされた容姿端麗で、運動能力に優れ、知能指数100万の超人類が、シンギュラリティ(人工知能が人間の能力を超えることで起こる出来事)が起きるとされる2045年より先に誕生しているかもしれない。

■日常の生活

次に、2030年の日常生活を想像してみよう。

2030年の人たちは、どんな食事をしているのだろうか。

わたしの大好きなビールもお酒もワインもある。肉も魚も野菜もご飯もみんな同じ。見かけの生活は今とほとんど変わらない。お茶碗やお箸を使って食べることも同じ。多分、「いただきます」と言って食べ、「ごちそうさま」と言って食器を片づけているだろう。

コンピュータの進歩のようには、急激に食べものが変わるわけじゃない。食べる量も変わらない。日常の習慣だって同じだろう。

しかし、一歩外に出てみると、クルマは完全に自動運転になっている。それにクルマほど知られてはいないが、鉄道も大きく変貌している可能性がある。

最高時速505キロで走り、品川と名古屋間を40分とか50分でつなぐ『リニア中央新幹線』は2027年の完成だそうだが、それをはるかに凌ぐ鉄道の研究がアメリカで進んでいる。

テスラモーターズのCEOのイーロン・マスク氏らが出資している『ハイパーループ・ワン社』が、時速1200キロというジェット機以上の速度で走る弾丸ライナーを研究中だ。サンフランシスコとロサンゼルスの間を、ジェット機だと1時間かかるところを、わずか30分でつなぐそうだ。

この列車は、真空に近いチューブの中を、車両に積んだ電磁石とレールに埋設したコイルとの反発力と吸引力を利用して突っ走るそうで、すでに小型の実験線はできている。ドイツ、フランス、ロシアや北欧の国々、それに韓国が強い関心を示している(注1)。

ジェット機より速く走る弾丸列車の料金だが、それが、片道2千数百円といったタダ同然といえる価格設定なんだそうだ。その理由は、この列車の構造に依存している。

真空に近いチューブの中で、車両は磁気で浮上しているので空気抵抗や摩擦抵抗がない。その中を進むのだから、わずかなエネルギーで移動が可能だ。だから、とても安くなる言う。

そうなったら、リニア新幹線はどうなるのだろうか。

当然、過去の優れた技術ということで鉄道博物館に陳列されることになる。

このハイパーループだが、2030年には普通に走っていると想定されている。
 
次に、普段よく見るテレビの話をしよう。

壁全部がテレビになっているという家もできているだろう。きめ細かな映像で100インチでも200インチでも可能だ。しかも画面が柔らかくフレキシブルなので、壁紙を張り替えるように簡単に手軽にできる。

それよりも、テレビとかコンピュータという言葉はあまり聞かれなくなっているかもしれない。壁やテーブル全体が3Dのディスプレーになっている。もちろん、3D用のメガネをかける必要はない。2030年にはメガネなしで立体画像が見られる。南国の浜辺とか、アルプスの山々を映すこともできるし、3Dの映画『シン・ゴジラ』を見ることもできる。

家の中でゴジラが出てくるなんて気持ち悪いわよ、と言われる方はイグアスの滝とか天井にフェアバンクスのオーロラを立体映像で映すことで、ロマンチックな空間を創り出すことができる。恋人たちには素敵な空間が演出されるだろう。

最近、ウエアラブルコンピュータが話題になっている。

ウエアラブルというのは、身につけることができるという意味だから、時計やメガネがその代表だ。さらに進むとコンタクトレンズがコンピュータになっている。

便利そうだが、それを付け外出したら危険じゃないのかと危惧されるが、必要なときにだけ画面表示されるから大丈夫。電話もメールも街の情報も、それに自分にあったお買い得商品の情報まで、すべてメガネやコンタクトレンズ型のコンピュータで眼前に表示され知らせてくれる。

と、いうことは、わたしたちが使っているガラケーはもちろんのこと、スマホもだって過去の物になっている。一部のノスタルジックなファンだけが、スマホをカバンの隅に忍ばせているだろうが。

それに、現実の世界とバーチャルな仮想空間との境目が見えなくなっている。

バーチャルはバーチャルで、現実とは違う、と思われるかもしれない。

ジェームズ・キャメロン監督の映画『アバター』は、最新の3D映像で大ヒットした。この『アバター』というのは、バーチャルな世界で自分自身を表すアニメのことだ。自分自身のアニメが、バーチャルの世界でいろんなアバターと出会うことができる。ときにはアバター同士で恋が芽生えることもある。

映画『アバター』では、主人公のジェイク・サリーがアバターに変身するところから物語が始まる。そして衛星パンドラに住むナヴィ人のネイティリを愛するようになる。

そういう世界が始まろうとしているのが2030年なのだ。

■お金はどうなる?

お買い物をしようと外出する。お金もバーチャルになっている。これは仮想通貨、ビットコインと呼ばれている。このビットコインで円やドルと交換し、お買い物ができる。

ビットコインは実体がないので信用できるのだろうか。今だって、世界中で使えるカードがあるのに、どうしてビットコインが必要なのだろうか。

今のカードは取り扱えるお店でお金の代わりとして使うもので、ビットコインはネット上で手軽に使えて、世界中のお買い物がビットコイン一種類でできる。だからスマホがあれば世界中でお買い物ができる。それもごくわずかな手数料でできる。2030年にはそれが当たり前になっているということだ。

お金だってバーチャルの世界でやり取りするのに問題はない。ただ、ビットコインが多くの人にとって信用されるのかが課題として残る。

「仮想のお金だからあまり信用できない!」

そうかもしれないが、今のお金だって、紙や銅などの金属でできていて実質的な価値とは異なっている。これもバーチャルの一種で、実体のないものといえば言えないこともない。それに5千年前は「宝貝」がお金の役割をしていた。(注2)

一番信用がおけると言われるドルだって、過去を振り返れば何度かの大暴落を経験している。

それで本当にビットコインが普及するなら、銀行はどうなるのだろうか。銀行は預金の運用と、振込や外国為替業などの手数料が大きな収益源だが、企業は銀行からお金を借りることをせずに市場や投資家から直接資金を集めるようになってきた。海外への送金もほとんど手数料のかからないビットコインでするようになる。銀行はこのように、ビットコインが普及すると手数料も入らなくなる。

すでに金利はゼロからマイナスになり、地方銀行では合併や併合が行われ、喘ぎ声を上げ始めている。(注3)

このことは遅かれ早かれ止めようのない時代の流れなのだ。銀行といえども永遠に続く事業は存在しない。ここでも一つ職業が縮小し、消えてゆくことになる。

ところで、ビットコインが生まれてきた背景に、面白い逸話が残っている。

あるいかがわしい人物が、オンラインで麻薬を売るのに現金取引で足が着かないように、政府が関与していない通貨を探していた。その一方で、ある人権擁護派の立派な人物が、腐敗した抑圧的な政府の手を逃れて、あるいはそうした統制がまったくないところで動くマネーシステムがないか探していた。彼らが一緒になって作り出したのが、ビットコインだったというのだ。(注4)

■医者は? 薬剤師は?

近未来の医療について考えてみよう。

2100年の人たちは、永遠の若さを保つことができるそうだが、2030年の人たちは、例えば、風邪を引いたとき、家の中にいて、テレビ画面に映ったバーチャルなお医者さんを呼び出して病状を説明する。するとバーチャルなドクターが応えてくれて薬が処方される。もちろんこのドクターは人工知能だけど、世界一優れたお医者さんだ。

それに、わたしたちのDNAは完全に解読されており、一人ひとりのDNAに合った薬が処方される。要するにオーダーメイドの薬だ。だから、副作用を起こさない。そんな個人用の薬が直ちに処方され、ドローンで配送されて来る。

患者は病院に出かける必要もなく、病院での待ち時間はゼロ。直ちに名医による懇切丁寧な診察をしてもらえる。そして、しばらくすると薬が玄関口に届けられるのだ。薬局に出かける必要もなく、待ち時間もなければお金の支払いをする面倒もない。テレビ画面に映ったナースに向かって言葉を交わすだけで、すべてが終了する。

常日頃の健康管理は、自分たちが身につけた下着に目に見えないような小さな超高感度のセンサーが取り付けられ、わたしたちの体の状態が常にモニターされている。よっぽどの無茶をしない限り、風邪を引くこともほとんどなくなる。ガンだって細胞分裂する前に知らせてくれる。だからガンという言葉を耳にすることも少なくなっているだろう。

10数年先のことだが、すでに信じられないような世界になっている。

そういうことになったら、わたしの家から歩いて10分ほどの駅前にある町医者や薬局の中には、閉院や閉局するところも出てくるだろう。医者や薬剤師といえども職を失う時代がすぐそこまで来ているのだ。

体の具合をバーチャルドクターに相談したように、こういうシステムをエキスパート(専門家)・システムと呼ぶ。バーチャルドクターが、医師や薬剤師といった専門家のかわりになって、アドバイスや診断をおこなってくれるといったシステムのことだ。

エキスパート・システムでは、形式化されたルールベースに従えばきっちりと診断してくれる。人間のような勘違いや誤診は一切なくなる。老齢化が進む日本で、それも家にいながら安心、安全に、そして心穏やかに暮らせる日がやって来るのが待ち遠しいものだ。

■老化防止薬

『若返りの薬』は、2030年にはまだできていなが、『老化を防止する薬』はできているだろうと多くの研究者が発言している。

『若返りの薬』は2050年まで待なければならないが、あなたはその年に手が届く年齢だろうか。

さて、老化を防止することができると、人が死ななくなり、寿命がどんどん延びる。人が死なないから人口爆発につながる。だから、そうならないために世界中で赤ちゃんはつくってはいけないとか、産むためには特別の許可がいるようになるかもしれない。ひょっとしたら2030年が、無許可で新生児を産むことができる最後の年になるかもしれない。

そうすると人の誕生と死の選択が、今以上にとても重要な問題になってくる。

46億年前に地球が誕生し、その6億年後に生命が生まれた。そして、これまでの40億年の間に死ぬことのない生き物がいたためしはなく、すべての生物に死が存在した。われわれが有するDNAには死のコードが挿入されている。『老化防止薬』、それに続く『若返りの薬』がそれと矛盾しなければいいのだけど……。

■人口爆発と食糧問題

上で人口爆発が懸念されると記したが、1798年、トマス・ロバート・マルサス氏は、「世界人口が食料供給で賄える数を上回ったとき、食糧難、暴動、政府の倒壊、そして大飢饉が、人口と資源が新たな均衡に達するまで続く」と警告した。

2030年の世界の人口は、2015年の72億7000万人に対して11億人増大し、83億7000万人に達する。その中で注目されることは、貧困層が半減し、中間所得者層(OECDでは、中間所得者層を1日に1人当たり10~100米ドルの消費ができること⦅購買力平価ベース⦆と定義している。)が現在の18億人から49億人と3倍弱に増大することにある。(注5)(注6)この中間層が今後の食糧、エネルギー、さらには文化や世論に大きな影響を与えると予想されている。

2030年の83億7000万人の人口を養うための食料は、2015年の生産量に対して35%の増産が必要とされるが、2000年から2010年までに食料の生産量は逆に、1.1%減少している。そして、飲料用と農工業用水は9兆6000立方メートルが必要だが、地球上に存在する大河の水量は減少している。さらに、温暖化により農地の砂漠化が進んでいる。

人口爆発と中間所得者層の増大で、小麦粉を筆頭に食糧の価格は止めどもなく高騰し、世界のいたるところで暴動が起きるだろうと予想されるが、それを彷彿とさせる予兆がすでに起きている。

それは、2007年から2008年にかけて穀物生産国で干ばつと石油価格の上昇により、小麦の価格が前年と比較して136%上昇した。トウモロコシは125%、大豆は107%、コメにいたっては217%も上昇した。

こうなった最初の原因は、2006年に発生したオーストラリアでの大干ばつだった。小麦の収穫面積が例年の3分の1にまで減少した。さらに拍車をかけたのが、アジアにおける中産階級の増大と、それによる肉類などの食料の多様化による需要の増大がある。このとき、世界の食糧の備蓄量が前年の干ばつなどの異常気象の影響により減少していたことも原因の一つとして挙げられている。

このような状況に至ると、食料輸出国のブラジル、インド、ベトナムやアルゼンチン、ウクライナなどの国々は厳しい規制や高い関税をかけて食料の輸出を制限した。そのためもあって、アジアやアフリカ、南米の国々で2007年暮れから2008年の年頭にかけて食料が手に入らないことに対する抗議と暴動が起こり社会不安を煽った。

さらにすさまじいのは北朝鮮で、2008年6月に政府の職員が、「生きることはもはや困難である。国民はすべて死につつあるようだ」、と訴えたという。しかし、北朝鮮政府は食糧の外国依存をまったく改善できていない。(注7)

イギリス政府の主席科学顧問が、2030年までに人口爆発や食料とエネルギーの供給低下という、いわば「パーフェクトストーム(究極の大嵐)」が起きると警告した。さらに国連の世界人口推計は、2030年に84億人になると予想し、国連の食糧農業機構(FAO)は、2050年までに新たに増える23億人を養うには70%の食糧増産が必要だと報告している。

しかし、これらの人々を満足させる食糧を供給できる保証は、今のところまったく見出されていない。

この人口爆発を解決する手段を見つけるのは、人類の知能ではかなわず、人工知能に頼ることになるかもしれない。

■人工知能と労働者の関係

ところで人工知能に関して、2016年4月になって内閣府が発表した『科学技術イノベーション総合戦略2016』(注8)の素案によると、人工知能研究開発の推進や人工知能の普及が重要だとして、これに伴う社会的・倫理的課題について報告している。

総務省や経済産業省、文部科学省などの各省は、人工知能を中心とした研究開発や社会への導入に向けた取り組みを強化しようとしている。

これらの報告によると、「知」(knowledge)から「智」(Wisdom)へと進化し、『第四次産業革命』を超えた社会、『智連社会』(Wisdom Network Society、WINS)が形成されるとしている。

研究開発や特許、知的財産に関しても日本、米国、欧州、中国、韓国の五大特許庁でIoT(モノのインターネット)や人工知能などの新技術に対応した知的財産制度の課題や対応の情報を共有する見通しとなっている。『第四次産業革命』を目前にして、特許制度の国際会議が本格化することになっている。

経済産業省では、『第四次産業革命』が進展することにより、産業構造や就業構造が劇的に変わると示唆している。

この中で、人が人工知能やロボットと共に働く仕事を拡大させるそうだ。計画通り『第四次産業革命』を推進した場合、2015年と比較すると、2030年には161万人の職がなくなると見積もっている。

一方、『第四次産業革命』を推進しない場合、失業者はさらに増え、735万人にも達すると予想されている。

この数字どおりなら大変なことになるが、2030年の生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は、人口減少と老齢化のため、6740万人になると予想されている。2015年の生産年齢人口が7770万人だから、1030万人も減少することになる。差し引きすると869万人の労働者の不足が予測されている」(年齢別人口統計 国立社会保障・人口問題研究所の推計による)。

2030年になっても労働者が不足しており、みんなが働ける環境にあるのだが……。

この不足する労働者を補てんするために外国人を移住させるのか、66歳から70歳の人たちで賄うのか、それともヒトを代替する新型ロボットを導入するのか、あるいはこれらの組み合わせになるのか。

これまでの国民感情からすると、外国人が多くなるのも問題だ。結局、ロボット、それしかないことになる。

2030年には、日本の元気な老人たちが人工知能を搭載したロボットたちと一緒になって働くことになる。だからといって、いきなりロボットと一緒に働いてくださいと言われても、戸惑うことになる。

66歳以上の人たちがロボットと働くことができる最低限のスキルが必要となる。仮にだが、『第四次産業革命対策老齢者就職推進事業所(筆者勝手に考えた役所名)』ができ、そこではロボットと人とがコミュニケーションを交わしながら仕事をする方法が伝授されているかもしれない。

それも必要な社会事業の一つで、ロボット化が進む中での新しい職業が誕生しているかもしれない。

人工知能やロボットができたって、2030年になってもずっと働くことができ、お給料はいただけるのである。

参考文献

(注1)最高時速1200kmを実現する未来の輸送システム、現状はどこまで進んでいる? 山崎良平 日経テクノロジーオンライン 2016年8月31日
(注2)サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福 ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳 河出書房新社 2016年
(注3)地方銀行 朝日新聞 2017年2月21日
(注4)『超人』AI30年にも実現 今井拓司 日経産業新聞、2016年7月29日
(注5)2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」 米国国家情報会議編、谷町真珠訳 講談社 2013年
(注6)機械との競争 日経BP社 2013年
(注7)2007年-2008年の世界食料価格危機 ウィキペディア
(注8)科学技術イノベーション総合戦略2016 内閣府 科学技術政策 2016年5月24日閣議決定

工学博士 黒川 正弘

黒川正弘先生のプロフィールや著作については、こちらをご覧ください。

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